「スマート日本」宣言 経済復興のためのエネルギー政策(村上憲郎・福井エドワード共著)

「スマート日本」宣言 経済復興のためのエネルギー政策 (アスキー新書)
 夏の電力危機も乗り越えた今日この頃、若干の出遅れ感を感じつつ読みました。スマートグリッドの目的、政策、産業そして東北大震災を踏まえたスマートシティについて、多くの人が議論に参加できるような語り口で説く。

 日本が今まで潤沢な電力を享受できたのは夏の10日間の最大瞬間消費電力をまかなうに足る発電設備を目一杯準備していたからと説き、一方でスマートグリッドはスマートメータによる見える化を行い節電契約と言えるネガワットや蓄電技術でピークカットすることと論じる。

 また、もともと法律は発電、変電、送電、配電の四つのビジネス形態を想定しているとして電気事業法にも言及し、イノベーションを促す制度の政策を求め、エネルギー、IT、通信に限らない広範囲な産業への波及効果語り企業のスマートグリッドへ参入を鼓舞する。

 発電所を建設することで利する組織と、スマートグリッドで利する組織の大きな鬩ぎ合いがとても良く理解できた一冊です。そう言えば、村上憲郎氏が講演でスマートメータで取得するデータ量も、前者は少なく後者は多くと主張して議論している、との話があったのを思い出しました。